COSMOS 第4号 / 1994年12月発行
こちらのページは佐久合氣道通信「COSMOS」コスモス(1993年7月から2002年10月刊行)に掲載されていた遠藤師範からのメッセージを抜粋して再掲載しております。
道場の発足にあたって
遠藤征四郎
三十年位前までは街のあちこちに「○○教えます」「△△稽古所」「××道場」などの看板を見ることができました。師範あるいは先生といわれる人を中心にして日本の文化の大部分はそのような場所で生まれ育てられて来ました。現在そのような場所はほとんど消え、商業主義のカルチャー教室に取り込まれてしまいました。
武道関係の道場もほとんど街の中から消えました。武道を習う人の多くは、自治体の建てた大きな体育館で稽古をするしか場所がありません。公共施設としての体育館は一見豪華ですが、一過性のイベントを機に建てられた、いわば一時的な目的を優先して建てられた施設も少なくありません。このような施設では専門的な武道修行者のための利便性や環境作りという心使いが必ずしも充分には行き届きません。
大都市の中の施設は一部有効に利用されているようですが、武道場などは多数の団体が入り混じってそれぞれの武道を行っています。時には武道以外の団体も同時に利用する状況が避けられず喧噪も極に達しています。およそ精神統一を求めんとする武道稽古の環境にはほど遠く、人間形成の場ともいえません。合気道修行の専門道場の必要性を痛感していました。
道場ができあがりました。武道のための環境は整いました。当面「合気道佐久道場」と呼びます。世界中から人々が集まり、友好と平和に役立ち、なおかつ人間形成のできる道場を目指して微力をつくして行きたいと思っています。
沢山の方々から御支援を頂きました。本当にありがとうございました。(1994年12月)